心療内科

今日、はじめて心療内科に行った。担当してくれた先生の話とかがいろいろ記憶に残ったから書く。

ゴールデンウィーク前に連絡して、今日の13時半に予約がとれた。自転車で30分くらいの距離。病院に行ってみようかと考えたことは何度かあったけど、病院はもっと辛い人が行くところなんだと思い込んでいた。でも人と話しても死ぬ方法ばかり考えて何も頭に入ってこないことばかりになって、なにもできなくなっている毎日でさすがに自分は何かおかしいんじゃないかと思っていた。病院に行ってそれは甘えですと言われたらもうどうしようもないから死んでしまえばいいかと思った。結局電話するまで2週間くらいかかったけど。

 

病院に向かう途中も、「自転車に乗って病院にこれるくらいなら正常です」とつき返されるんじゃないかななんて考えていた。

 

着いたら受付に行って保険証を出して、問診票みたいなのを書いた。どんな症状に困ってますかみたいやつ。欄がそこまで大きくないから端的でいいんだろうと思って「うつかもしれない」とだけ書いた。書いていて恥ずかしかった。出したら受付の人にお前若いし元気そうなのに本当に鬱なの?とか思われそうだなとか考えていた。そのあと別室に案内されて、うつ症状の簡単なチェックシートに記入した。右側に開いちゃいけないページがあった。

 

出してから暫くして呼ばれた。午後で1番早い時間の予約だったから最初はスカスカだった待合室にちらほら人がいた。若い男の先生で助かった。年上の女性にはトラウマが多い。具体的にどんなことで困ってますか?という質問から始まった。最初は何を話せばいいのかわからなかったけど、先生がいい感じに質問したり話を確認して纏めてくれたりした。小学生のときの話まで遡るのにはびっくりした。全部を話した訳ではなないけど、人に自分の過去なんて話したことがなかったから、あの時間だけで先生は自分の人生のあれこれを1番知っている人になった。

 

先生はあっさりした人で、時々冗談とかも言ってくれたから重たいこともさらっと話せた。普通は親や他人に叱られたりもしながらも肯定され、自分を認める能力をつけるけど自分は違うらしい。否定されることばかりで自分を責めることをずっと訓練し続けて21歳まで生きてきたから、自責のエキスパートらしい。何だよ、自責のエキスパートって。笑ってしまった。暫く話したあと、MADRSとかいうのをやった。世界的な鬱の診断基準で、自分じゃなく医者が質問しながら点数をつけるものらしい。自分でやると、高くつけたり低くつけたりすることがあるから、それを防ぐため。1問0点〜6点で10問。全部で60点。

 

自分は40点だった。点数を言われてもいまいちよくわからなくて、大したことないんじゃないかなあなんて思っていた。それってどんなもんなんですか、と聞いたら「中程度(中高度と言っていたかもしれない)の鬱です」と。中程度ってなんだ?ちょっと憂鬱な気分になりがちなだけでやっぱりなんでもないのか?と思ったら「言い方変ですが、立派なうつだということですね」と言われた。

30点以上くらいの人はカウンセリングだけでは足りず、薬を使っての治療が不可欠なレベルらしい。45点以上はかなり重症で入院したりする人もいるとか。そうなんだ〜、と他人事みたいに聞いてた。

そして、うつ病はそれ単体でなく、あわせてほかの何かも発症していることが多いらしい。自分は「複雑性PTSD」。最近認められつつあるものだからまだ診断名としては出せないものらしい。

以下は、先生の話を自分なりに解釈して思い出したものだから間違いや個人差があると思う。本来PTSDは、大きなショックにより引き起こされるもの。戦争、レイプ、災害や事件などにより命の危機を感じたこと、そして人が死ぬ瞬間に直面したこと。これらがその大きなショックに当てはまる。

対して複雑性PTSDは、家庭環境やその他のことによる持続的な、多くの強いトラウマによって引き起こされるらしい。自分の場合当てはまったのは、親の虐待、不干渉からの過干渉、幼少期いつも両親が喧嘩をしていたこと、その間に入ってご機嫌とりをしていたこと、常に家族または自分に向けられた罵声を聞いていたこと、兄弟での扱いの差、他者への失望、とか。

 

PTSDは歩いていたら急に土砂崩れが起きて滑り落ちるようなもので、複雑性PTSDは道のそこら中に大きな穴が開きまくっている状態らしい。確かになあと思った。自分は1個の大きな悩みではなくて、いろんなことが、それも過去のことも現在のこともごちゃごちゃになっているのは前から思っていた。現状を他人の言葉で整理されて、診断名がついて、そこでやっと少し実感した。あー、自分やっぱりおかしかったのか、と。

そして、「だいたいの人が0〜5点くらいのところ、あなたはきっと人生のほとんどの時間を15点くらいの状態で過ごしている。あなたの中でましな状態のときも本当は今より軽めのうつ状態で、ある意味常にうつでそれが当たり前になっている」と言われた。たしかに幸せだったと思えるような時期もないけど、他人に言われると自分の悲観だけじゃないのかなと思った。自分は幼少期から親が喧嘩をしているところに何も知らない顔で外で摘んだ花を持っていくような変に察しが良くて計算高い人間だったけど、それはちょっとした自意識過剰で本当は皆そうなのだと思っていた。違うのかもしれない。

うつの治療の4段階の説明も聞いた。薬が効き始めて、2段階目になるといいときと悪いときの差が激しくなるらしい。

 

そのあと病院でかかるお金の話とか、自立支援制度の話とかを聞いた。診察室を出たあとに担当の人が来て具体的な申請方法とか金額とかを細かく教えてくれた。住民票を移していないから手続きが複雑になるかもしれないらしく、市役所に問い合わせてくれるらしい。なんか、そこまでしてくれるのかとびっくりした。なんでも自分でやってきたから、そういう支援があるとか申し込みがどうとか全部自分で調べて勝手にやるもんだと思ってた。もちろん診察料を払っているとはいえ、診察以外のことまで自分の症状を良くするためにやってくれるんだなあと思った。

そのあと薬をもらって帰った。かかったお金は全部で3500円くらい。病院はいくらかかるかわからないからこわい。MADRSの診断結果とうつの1段階目と2段階目の症状とか気をつけることが簡単に書かれた小さい紙をもらったからそれを読んだ。楽な方を選べと書いてあった。たまにTwitterとかでも「鬱の人は何もしなくていい!好きなことだけするのがいい!」というような旨のツイートがバズってるのを見かけるし、それは自分も賛成だったけど、いざ自分でとなると難しい。やっぱりなにかしないとと焦ってしまうし、でもうまくいかない。何もしなくていいなんて本当なのかな、っていう気持ちだけ残る。薬に頼らずにこういう考えも治すには相当な訓練が必要で、RIZAPみたいな感じ。と先生が言ってた。いずれ薬をやめたいと思ったとしても、その訓練を乗り越えるためにはまず鬱を治す必要がある、とも。薬の善し悪しなんていくらでも言いようもあるし偏見もあるからわからないけど、自分は大量に薬を飲む人を見て生きてきたから薬になんの抵抗もないどころかコーヒーとかと同じくらい普通に飲むものだと思っている。だから飲める。この小さい粒たちが自分のおかしいところをおかしくなくしてくれるといい。