夜と桜

昼、古本屋に行った帰り道で桜が少し咲いているのを遠目に見かけた。そういえば3日前くらいから急に暖かくなった。

 

いつも夜の0時前くらいに走るけど、今日は早めに家を出た。21時すぎくらい。9時じゃなくて21時と書くだけで少し大人な気がする。

 

アパートから走って15分くらいの高台に大きめの公園がある。桜の木が園内の道沿いにいっぱいあって、桜が咲いている間だけ提灯が木の合間に飾られて、光っている。いつもは少ない外灯だけだから、明るく感じる。

1週間前くらいに来たときは桜はまだまだ咲いてなかったし、提灯もなかった。22時半頃に着いたけどすぐに外灯が消されてしまって、真っ暗になったから怖くて帰った。

今日はいくつか出店も並んでいた。もうどこも閉まっていたけど。きっと21時くらいには閉める決まりなんだろう。でもちらほら人がいて、男の人4,5人のグループの笑い声が遠くに聞こえた。

外灯も提灯も明かりが弱くて、「夜桜」って感じはしなかった。まだ満開じゃないからかもしれないし、毎年そうだった気もする。暗い公園に歩けるくらいの明かりがあって、桜は咲いている。夜と桜は別々だ。

公園の1番高いところから見渡したら、遠くにぽつぽつ明かりが見えた。きっと建物がもっといっぱいあって明かりもいっぱいついていたら、それこそ夜景なんだろう。風が気持ちいい、夜だった。少し先の道路に見回りのパトカーだけが静かに走っていた。真下を見下ろしたら猫が歩いてるのがうっすら見えた。

 

しばらくぼうっとしてから公園から出た。急斜面を階段で降りるとすぐそばに港があって、船がとまっている。水の音がする。すぐそばを走ったらもっと風とか匂いが心地よさそうだけど、朝じゃないとなんとなく近寄りづらい。夜の水辺は少し怖い。

 

車道の真ん中を走れるくらい人も車もいない。たまに通る車のあとに代行車がぴったりついていく。どこかでお酒を飲んだ人の帰り道。都会には代行なんてあるのかなあと思った。無さそう。店に駐車場もろくにないのに、車に乗って飲みになんて行かないだろう。

 

普段からよくキャップを被っている。ナイキの、黒のローキャップ。一昨年友人とフェスに行ったとき寄った幕張のアウトレットで買った。走る時もなんとなく被るけど、キャップに押された前髪が目にかかって鬱陶しかった。髪を切りに行かないといけない。

 

明日はバイトの人達で花見をすると言う話になっていたけど、適当な理由をつけて断った。昼の2時間くらいを過ごすのはいいけど、流れでバイト先に行って飲み会になるのが目に見えている。互いに適当に過ごせる仲の良い友人なら構わないけど、別にそうでもない人たち大勢と、何時に終わるかはっきりしない長い時間を過ごすのは気が進まない。居酒屋特有のノリで、夜遅くまで騒ぐのが仲の良い証拠、イケてる、みたいな人達だから帰りたくても引きとめられる。普段のバイト終わりでさえ飲もうよ、もう帰るの?とうるさい。夜だけでも来てと言われたけど、それでも気が進まない。

まあ、用事があるのは本当で、新しく決まった他のバイトに行く。もう飲食業はやりたくない。

 

明日はゼミがある。前まで火曜の5限だったのに、水曜の1限になった。1限ゼミなんてなかなかなくて、去年そうだった友達にドンマイ、なんて笑っていたけど新年度になって時間が変わるとは思わなかった。1限は8時45分から。朝6時頃にようやくうとうとして9時過ぎに起きる生活が続いていて、どうにも普通の生活リズムにもどせなかった。明日起きられるだろうか。そもそも寝られるだろうか。ゼミの先生は本当にいい人だけど先週春休み明けの最初のゼミは学校を辞める気ですっぽかしたから、明日は行きたい。友人もいる。来る保証はないけど。行けたらいいなと思って、全然眠気もないけど布団に入る。